いくつかの研磨した石155
新潟県村上市葡萄 葡萄鉱山の鉛亜鉛鉱を一面研磨しました.以前に当地の鉛亜鉛の鉱石を研磨しましたが,これは石英脈中のもので,今回は炭酸塩を母岩とする鉱石を研磨しました.標本は以前に提供を受けた石で,表面に二酸化マンガンの染みを多く伴っている石でした.成形すると二酸化マンガンは内部にまで達し,下から出てきた白色部は俄かに桃色味があり菱マンガン鉱からなっていることが判りました.ほか白色板状の重晶石やかなり微細な石英を少量含んでいました.
研磨面では無い,標本の正面からの撮影です.
(研磨)表面が二酸化マンガンに覆われていたので,二次鉱物帯が無くなるとそれなりの硬さになりました.鉛亜鉛を含む炭酸塩主体の集合でしたので,簡単に磨り上がってくれました.
仕上げは初め青砥でしていたのですが,金属の部分がどうにも磨れてくれず,黄白色の砥石で何とかなりました.
(以下,顕微鏡写真です)
炭酸塩の多い部分です.俄かにピンク色を帯びている白色部が菱マンガン鉱です.帯青鉛灰色部は方鉛鉱です.
炭酸塩と金属の多い部分との境界付近の拡大写真です.右上を広く占めている白色部は方解石でした.褐色の筋を境に接している白色部は重晶石でした.黄褐色や淡紅色を呈する部分は菱マンガン鉱.
亜鉛の多い部分の拡大写真です.下の方に赤いのは鉄を含む炭酸塩の分解によるもののようです.鉄黒色金属光沢部が閃亜鉛鉱です.細い白色板状は重晶石.
重晶石の多い部分の拡大です.石英はこの石には殆ど入っていませんが,この写真の部分のみに少量含まれていました.研磨したら存在が判りました.
鉛の多い部分の拡大写真です.帯青鉛灰色金属光沢部が方鉛鉱です.写真中央よりやや右上に反射しているように写っているのは黄鉄鉱です.
各部位の配置はこんな感じになりました.