いくつかの研磨した石141
兵庫県丹波篠山市本明谷 福住鉱山のハウスマン鉱からなる鉱石を一面研磨してみました.この石は最近になって商品を作るときに出た木っ端です.一部が平坦になっていましたので,この面を一面研磨にしました.
当地は戦前から戦中にかけて大規模にマンガン鉱を出鉱した有名な鉱山です.篠山線の引込線があったくらいの規模だったそうです.丹波Ⅱ型の堆積岩コンプレックスに胚胎するマンガン鉱床で,Ⅰ型のマンガン鉱床ではあまり産しないマンガン鉱物からなっています.主要鉱石鉱物はブラウン鉱で,ほか菱マンガン鉱やカリオピライトなどがみられました.当地の銘柄品としてカーフォル石があります.マンガン鉱床の母岩に出てくるという産状の鉱物で,一面研磨したところ硫砒鉄鉱や黄鉄鉱・黄銅鉱などがカーフォル石と石英からなる脈中に含まれているのを確認しました.
(研磨)ハウスマン鉱主体なので,柔らかいと思い一気に磨り上げましたが,案外硬かったです.カリオピライトを部分的に含んでいる所為もあったようです.
仕上げの研磨は,はじめにどこかの林道で拾った風化した泥質岩の岩片でしました.そのあと青砥にかけましたが,うまく光沢が出てくれず,鴨瀬谷山の黄色い砥石に換えたところ思うような光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡写真です)
母岩のように見える赤褐色の部分がハウスマン鉱.脈で切るやや透明感のある褐色部はネオトス石のようです.白色部はマンガン方解石.黒い煤のように見えるのはブラウン鉱のようです.見た目は行っていないように見えましたが,細かいブラウン鉱は含んでいるようです.
カリオピライトの部分の拡大です.濃褐色部がカリオピライトです.この部分が一番光沢が出てくれました.
脈の部分の拡大です.
白色部はマンガン方解石で,淡いピンク色は菱マンガン鉱のようです.灰緑色はテフロ橄欖石か? 小さいので判別できませんでした.
白色脈部の拡大です.灰緑色部はテフロ橄欖石か?
以下,部分の説明です.
こんな感じになりました.