昨日の続きです。
通り過ぎてしまいそうな「ナルタキ山」の山頂から下山する。とりあえず南東に派生する主稜線を辿る。ところどころに倒木が邪魔するが、そのほかは歩きやすい尾根だった。幾つもコブを通りこし、標高618m地点に着いた。地形図に掲載されている地点だ。
標高618m峰から先は同じような尾根でどんどん東進する。正面がやや明るくなってきて岩峰の展望ポイントに出る。岩峰の先の鞍部まで北東側の展望が開けた。
岩峰の先の鞍部からの展望。右は剣尾山。中央は横尾山。左端はヤケ山。
左下に国道のループ橋が見える。
下山はどこから行っても良かったので、豊能鉱山の谷から下ってみた。岩峰から南東の主稜線を100mほど行った鞍部から下る。
鉱山の谷への分岐。特に目印になるようなものは無い。以前に豊能鉱山に来た時に尾根まで上がった。この時の風景を覚えていて、これ役に足った。
直進すると三角点「高野」に至る。
雑木林の中を下る。これが鉱山の谷かは下りてみないと分からない。少し下りたところの右岸に炭焼窯の跡があれば正解なんだが。
笹交じりの雑木林で平坦地を探しながら下りて行った。落ち葉が堆積し非常に滑りやすい。笹が切れたところで右岸に炭焼窯跡があった。
炭焼窯の跡。鉱山の谷の源頭部の右岸にある。ここを下れば鉱山に至る。
豊能鉱山は層状マンガン鉱床で、付近に貫入する花崗岩類によって熱変成を受けているため、珪酸分の多いマンガン鉱物を多産した。おもな鉱物は、緑マンガン鉱・マンガンスピネル・パイロクロアイト・菱マンガン鉱・石英・テフロ橄欖石・満礬石榴石・ばら輝石・バスタム石・ネオトス石など。
下草が消えて灌木帯を伴う植林内に入ると左岸に一番上の坑口とズリに着いた。珪岩に薄く「ぎら鉱」を含む二酸化マンガン鉱がかなりたくさんある。珪岩の一部に伴う泥質岩もホルンフェルスになっていた。
写真を撮って更に下にいくつか坑口がある。そのうち穴の開いた坑口が一つあってこれの前で休憩した。
坑口前のズリはマンガン鉱石が少しあり、珪岩中に染まったばら輝石と、塊状のテフロ橄欖石があった。この中に炭マン質の鉱石があり少しサンプリングした。荷が重くなると足腰に負担がかかるので少しだけにして、さらに下っていく。沢筋に灌木が茂ってくると坑口群の下の方に来たことになる。再び杉の植林内に入り、水の流れる音が大きくなってきたら林道に出た。傍に簡易水道施設がある。
林道を下っていると迎えの着信があった。すでに近くに来ているという。約束の時間までまだ45分もあるのに。森上の街まで歩こうかと思っていたが、予定が狂った。
帰ってから、サンプルを確認してみるとパイロクロアイトを主とする汚いマンガン鉱中に淡紅色の菱マンガン鉱がレンズで入っていて、これの中に緑マンガン鉱の結晶質の粒が入っていた。この産地では初めて見るものだった。
京都亀岡で天然鉱石の販売ならミネラルショップたんくら