今年の京都ショーで,
海外の鉱物をいろいろ見ていたところH社で
チンゼン斧石の海外産があったので,購入した.
Tinzenite チンゼン斧石
組成:(Mn,Ca)2MnAl2B[OH|O|(Si2O7)2] 三斜晶系
産地:Molinello mine, Graveglia valley, Genova province, Liguria, Italy.
色:黄色・黄褐色・淡黄色・橙色・黄緑色ガラス光沢.劈開:一方向に明瞭.
モース硬度:6-7. 比重:3.3-3.4.
この石に関しては以前にも何回も触れましたが,丹波帯のマンガン鉱床より
ちょくちょく見かける鉱物で,顔なじみのある鉱物.
上の写真の橙色(オレンジ色)部がチンゼン斧石で,白色部は斧石に接する
部分は石英.下段の暗色繊維状鉱物に接する白色―灰白色の部分は,
アンケル石―クトナホル石系炭酸塩鉱物とのこと.(以下顕微鏡写真)
中央部を拡大したところ.(画像の幅約10mm)
標本の右端を拡大したところ.(画像の幅約6mm)
更に拡大しました.(画像の幅約3mm)
色はだいたい橙色系のものが多いようで,この標本の斧石の色は肉眼的に
赤色味の強い橙色といった感じで,写真は光源の違いで,黄色っぽく写って
います.
斧石の接する白色部は主に石英で,穴内鉱山などでよく見られる方解石など
の炭酸塩鉱物は伴っていない.
炭酸塩に伴っているものはやはりカルシウムの多いマンガン斧石のことが
多いらしく,同じ橙色の色彩をしていてもチンゼン斧石ではなく,マンガン斧石
であることがあるそうだ.
石英に伴っているのは今のところチンゼン斧石ということを聞いていて,この
標本もチンゼン斧石でよさそう.
母岩の方に赤褐色繊維状の鉱物がついていますが,こちらで調べたところ
サーサス石(Surssasite)であるそうだ.本邦では広域変成を受けたマンガン
鉱床や紅簾石片岩中に見つかるやや特殊な鉱物.
サーサス石.橙色部はチンゼン斧石.下方の白色部は石英.上部の灰白色―
黄白色部はアンケル石―クトナホル石系炭酸塩鉱物.
本邦産の写真も掲載します.以前にも掲載した標本です.
チンゼン斧石.京都府南丹市日吉町海老谷 玉岩鉱山地蔵坑 産.
こちらの標本も石英脈に伴っているもので.黄色―黄橙色部がチンゼン斧石です.白色部が石英で,石英脈に小さな粒状で入っているピンク色部は結晶質のパイロクスマンガン石です.石英の外側のやや塊状のピンク色部もパイロクスマンガン石ですが,少量の菱マンガン鉱を伴っています.母岩は珪岩です.
またこの標本を割った時の別の部位に石英脈に伴って,亜金属光沢で赤褐色柱状を呈するマンガン重石を確認しました.
おしらせ
京都ショーで仕入した商品がほぼ出揃いました.
新着商品はレジの前の棚におきました.
また,HP通販用商品も少し整理しました.
京都亀岡で天然鉱石の販売ならミネラルショップたんくら