銅鉱物
自然銅(Copper)
大阪府豊能郡能勢町下田尻 猪子峠露頭
Locality:Outcrop of Inoko touge mountain pass, Shimo Taziri, Nose town, Toyono district, Settsu old county, Ohsaka prefecture, Honshu island, Japan.
(非売品)
Copper(Native Copper) 自然銅
Cu 立方晶系.
しばらく標本箱内で行方不明になっていた標本で,最近出てきましたので,掃除して顕微鏡撮影をしました.
能勢町の南部に中継塔のある高岳という山があって,その山の尾根を南に辿って行ったところに猪ノ子峠がある.もう18年くらい前になるだろうか,峠から西に下るダートの東面の露頭に,かつて単斜灰簾石の繊維状集合を産したことがあって,そのころの採集物です.
超丹波帯の緑色岩で脈状になった桃簾石も産していたのを,露頭は堅いので,露頭の直下の転石から当時は拾っていました.この中に成形していたら,鮮やかな赤銅色が光りました.それに矢印を付けて,ラベルを付けて標本にしました.小さいものの大阪府産の自然銅の標本として保存しました.
それからしばらく行方不明になりました.最近出てきて,埃まみれになっていたので,掃除しました.自然銅は真っ黒に近いくらい錆びていました.
薄い箔状なので,酸で洗うと無くなってしまいそうなので,錆びたまま撮影しました.
判り易くするために矢印で指示画像を付けましたが,どんなものでしょう.
そのあとも露頭の周辺をいろいろ探索したところ,露頭の北の延長の谷地形のところに猪の檻があって,その上に一つ旧坑を見つけました.やや粘土化した緑色岩中に芋状の黄銅鉱レンズが入っているもので,閃亜鉛鉱のもの,方鉛鉱だけのものなどが見られました.二次鉱物は異極鉱だけ見ています.
露頭から東の尾根を越えたところの谷に谷寺鉱山がありました.谷沿いに3箇所穿った間歩があり,その中間の下の方に大切を切ったような凹地がありました.ズリは石垣で組まれて,流出しないようになっていました.鉱石は少なく,僅かに黄銅鉱と閃亜鉛鉱がありました.
猪の子峠の南の尾根を辿ったところの峰付近も陥没坑だらけで,中腹に5か所ほどの間歩を見ています.
そのあとに城山の城跡に行って,この付近の探索を終了しました.
大阪北部は銅山跡が多いので,自然銅がどこかから出そうな気がしますが,いまのところ当地しかみていません.