亜鉛鉱物
閃亜鉛鉱(Sphalerite)
和歌山県西牟婁郡白浜町三段 鉛山鉱山
Locality:Kanayama mine, Sandan, Shirahama town, Nishi Muro district, Kii old county, Kii peninsula, Wakayama prefecture, Honshu island, Japan.
(非売品)
Sphalerite 閃亜鉛鉱
(Zn,Fe)S 立方晶系.
11年くらいまえに購入した標本です.95㎜×70㎜×20㎜の黒箱にピタリと入るやや大きな標本です.いくつかの文献等でよく見る現場ですが,鉱石の標本というのを見たことが無く,ずっとどういう鉱石を生産していたのかわかりませんでした.11年くらい前の京都ショーで見つけて,標本の大きさがあるので重量が多少気になりましたが,現場に行くのも遠いので,購入しました.
鉛山鉱山はかなり歴史のある鉱山らしく,続日本紀に鉱山に関連することの記載があるという古い鉱山です.正親町天皇の時代にはほそぼそと稼業されていたと伝える.記録上は永禄から天正年間(1556―1586)に発見されたという.その後の旧幕時代の記録は今のところ見ていない.
大正8年6月に金龍坑の開鑿に着手した.同年8月より朱雀坑の開発に着手した.さらに同年11月に乙姫ひ(ひ は金偏に通)が発見された.
大正13年に亜鉛選鉱所を新設した.当時は鉛鉱とともに亜鉛鉱も生産にしていたようだ.
昭和4年頃より鉛精鉱の品位が低下.昭和6年に亜鉛鉱の相場が暴落し,生産が中止された.
昭和17年に休山.昭和26年および27年頃に再開されたが,休山した.昭和31年頃に閉山したようだ.
(文献は以下のとおり
商工省鉱山局(1932):鉄鉱調査概要,商工省鉱山局,180総ページ,
商工省鉱山局(1932):硫化鉄鉱調査概要,商工省鉱山局,429総ページ
瀧本 清(1973):日本地方鉱床誌 近畿地方,朝倉書店,436総ページ ほか多数)
標本は黒っぽい頁岩中の裂罅できたと思われ暗褐色の岩片を挟んでいて,そのほかの黒色亜金属光沢部のほとんどが閃亜鉛鉱でした.量を多く含んでいるので結構重量感のある標本です.ほかに少量の黄鉄鉱などを伴っていました.