露頭巡り
片山旧坑
(再訪)
滋賀県栗東市荒張
今回は本当は安土山へ城見学するつもりでしたが,野洲川を渡った時点で雨脚が強くなって行先を変更しました.現場に着いた時には時雨も止んで青空が見えてきましたのでほっとしました.川沿いの道から現場に上がっていたのですが,川の増水で渡れず,尾根の鼻先から対岸に何とか渡りました.
先人の踏み跡を辿って坑口の前まで行きました.
片山旧坑.
落葉が堆積していて滑るうえに雨上がりなため,足元がズルズルでした.前回来た時よりも黒い石が少なくなっていて,現場では坑道確認だけしました.サンプリングは下の河原の転石からしました.斜面にあるものは見るからに低品位でホルンフェルスが多く,色モノはほとんどありませんでした.時折,灰緑色の緑泥石の染まったホルンフェルスに閃亜鉛鉱や方鉛鉱の微粒が付いているものがありました.鉱石質ではないためパスして,川原を探しました.尾根の鼻先を廻ったところに少し溜まっているところがあって,そこから一つサンプリングしました.
ばら輝石からなる集合.
上の方と左端は二酸化マンガンの被膜です.ピンク色のパイロクスマンガン石―ばら輝石からなる集合で,画像中央に赤紫を呈する部分があって,割ったときはアレガニー石か何かだと思っていました.帰ってから眺めていると赤紫色の部分もばら輝石で一部に赤褐色の菱マンガン鉱を伴っていました.
この画像の左上から右下にかけて脈があって,一部に結晶質の菱マンガン鉱が入っていたので,ヘルヴァイトがあるかもと思ってルーペで観察しましたが,それは入っていませんでした.入っていたものは黒色に近い暗褐色の満礬石榴石で,雲母類と角閃石類を含んでいました.
この集合は硫化鉱物として磁硫鉄鉱と黄鉄鉱と閃亜鉛鉱を含んでいました.ほかに黄銅鉱や方鉛鉱のような金属鉱物はありませんでした.