マンガン鉱物
鉄マン鉱中のテフロ橄欖石
(Tephroite in Fe-Mn ore)
高知県香美市香北町川ノ内 松尾鉱山
Locality:Matsuo mine, Kawanouchi choh, Kami city,
Kohchi prefecture, Shikoku island, Japan.
(非売品)
Tephroite テフロ橄欖石
Mn2+2[SiO4] 直方晶系
今回は2024年新春交流会でサンプル購入した石を挙げました.今回は2点しか購入しておらず,どちらも四国秩父帯の鉄マン鉱床の標本でした.いずれもいつか現場に行ったときのサンプルとして購入しました.当地はばら輝石中に稀に原田石を産するという鉱山で,以前に近くまで行ったものの,手持ちの地形図で確認したところ,片道1時間くらいはかかりそうなので,ほかの現場に差し替えました.
元ラベルに「ヤコブス鉱」となっていたのですが,これが含まれる集合にしては重過ぎる上,芯に来る重さがあったため,端の一部を欠かして,磁力テストしたうえで,塩酸に浸けて磁力のある部分と少ない部分を分けて条痕を調べました.
磁力のある部分は粉末が黒褐色で粉末が磁石に引き付けられました.黒っぽい磁力の少ない部分は赤褐色でどうも赤鉄鉱を主とするようです.磁石に引き付けられる部分は磁鉄鉱のようです.
上の方に炭マン質の部分があって,ここに脈状のテフロ橄欖石が入っていました.脂ぎった光沢で緑青色をしていて,内部に褐色柱状の鉱物を含んでいました.褐色柱状の鉱物は褐簾石のように見えましたが,分析しないとなんとも言えません.
中央の帯緑青色部の脈状がテフロ橄欖石.周囲は若干のカリオピライトと赤鉄鉱のようでした.
鉄マン鉱石のサンプルなので,産地さえあればという軽い気持ちだったので,ラベルを「鉄マン鉱中のテフロ橄欖石」にしました.表面を軽く掃除したうえで新しい箱を用意して,古いラベルとともに新ラベルをパックに同封しました.