顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真189
―針ニッケル鉱―
産地:Kladno mine, Libušin, Kladno district, Central Bohemian region,
Czech republic(非売品).
Millerite 針ニッケル鉱
[組成] Ni2+S
[結晶・形態] 三方晶系.自形結晶は六角柱状ないし針状.面に条線
が発達することがある.双晶は報告なし.毛状・コイル
状・放射状・球状・ブドウ状集合などになる.
[色] 明るい真鍮黄色・黄銅鉱・鋼灰色など.錆びると虹色を
帯びたり灰緑色になる.
[光沢] 金属光沢.錆びると光沢は鈍くなる.
[モース硬度] 3~3.5
[比重] 5.3~5.5
[劈開] {1011}および{0112}に6方向完全.
[条痕] 帯緑灰色.
[同質異像鉱物] Crowningshieldite
[名称] ケンブリッジ大学の結晶学の教授
William Hallowes Miller(1801-1880)に因む.
[原産地] Jáchymov, Karlovy Vary district, Karlovy Vary region,
Czech Republic.
ひと月ぶりの顕微鏡写真シリーズです.今回は針ニッケル鉱にしました.ニッケルの重要な鉱石鉱物となる硫化鉱物で,主に熱水鉱床・正マグマ性鉱床・海底噴気性鉱床・マンガン鉱床・堆積岩中より産します.
上の標本は大阪ショーで入手した標本で,黒色の母岩中の苦灰石(白色)の空隙に,微細な針状をなす針ニッケル鉱で,細かい黄鉄鉱を伴っています.
針状の針ニッケル鉱.下の立方体は黄鉄鉱.
購入当初は苦灰石の表面に埃やゴミがたくさん付着してる上に,針状の結晶は結構黒く錆びていました.表面を軽く水で洗い流したうえで,熱重曹水で処理したところある程度の光沢が戻ってきてくれました.
以下は国産の標本です.
産地:大分県豊後大野市三重町若山鉱山(非売品).
知人より恵与してもらった標本です.学生のころに一度訪問する機会がありましたが,現場へはいろいろあっていきつけませんでした.母岩はオパールのようなもので,内部に放射状の集合がいくつも入っていました.
表面が若干さびていたので,こちらも軽く熱重曹水で処理したあとで,撮影しました.
産地:京都府京都市北区鷹峯 吉兆鉱山護法谷鉱床(非売品).
いままで何度か取り上げてきました標本を転載します.ほとんど熱変成を受けていない炭マンを主とする鉱床で,母岩は赤褐色のカリオピライトです.これに脈のようにして入っているやや粗い菱マンガン鉱の割れ目のようなところに真鍮色金属光沢の針ニッケル鉱が入っていました.管理がよかったのかあまり錆びていませんでした.