顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真188
手稲石
産地:和歌山県岩出市山崎百山.(非売品)
Teineite 手稲石
[組成] Cu2+[Te4+O3]・2H2O
[結晶] 直方晶系.自形結晶は短柱状・角柱状・針状など.ロゼット状・
放射状・皮膜状集合などになる.
[色] 鮮青色・淡青色・帯緑青色など.
[光沢] ガラス光沢.
[モース硬度] 2.5
[比重] 3.80~3.86
[劈開] {010}に良好.{001}{100}に乏しい.
[条痕] 明青色.
[名称] 原産地名より.
[原産地] 北海道札幌市手稲区手稲鉱山
ほか,塩酸に可溶.
ひとつきぶりの顕微鏡写真シリーズです.今回は手稲石にしました.かつて原産地の手稲鉱山のものや河津鉱山の標本も持っていたのですが,金欠で放出しました.上の産地は後に発見された産地で,筆者は当時学生で,九州にいたため,訪問する機会はありませんでした.
上の標本は最近入手したもので,暗緑色―黒色の角閃石からなる角閃石―石英片岩の割れ目に自形結晶の集合をなすものです.外観は真っ白な石英の上についているものが見た目はいいですが,多くが皮膜状でした.
石英上の手稲石の標本(非売品).
母岩は黒色―濃緑色の角閃石と石英を主とする結晶片岩類で,粒間に斑銅鉱とデュルレ鉱を伴っていました.割れ目に鉱染するようにはいっている鉱物に手稲石のほかに黄緑色―草色で苔のような外観のマックアルパイン石を伴っていました.近くに手稲石がいないとできていないようで,普通の孔雀石主体の部分や擬孔雀石の入っている部分には,入っていないようでした.
ほかに手稲石と紛らわしい色の鉱物に珪孔雀石があって,単独で脈となって母岩を切っているものと,孔雀石や擬孔雀石とともに共存して,不定形塊状をなすものがありました.
母岩の一部に煉瓦色―赤褐色の長石を伴っているものの石英の盤際にデュルレ鉱が濃集しているものがありました.