研磨石
いくつかの研磨した石297
京都府亀岡市稗田野町佐伯 高村鉱山の珪岩中の角礫状炭マンを一面研磨しました.1993年頃当時中学生だったときに訪問した際にサンプリングした古い石で,裏面が広く二酸化マンガンに覆われてかつ平坦だったため,この面を一面研磨しました.
未研磨面はこんな感じです.
(研磨)珪岩中なので,かなり硬いのを承知で磨り始めました.はじめのうちの二酸化マンガンの部分は柔らかいので,早く落ちてくれました.珪岩が出てくるといよいよ硬くなってきて,休憩時間等でぼちぼち手を動かしていたら,開始から2か月でようやく平滑になりました.
中研ぎに風化した砂岩で軽く磨ったあと,青砥で仕上げをしました.珪岩自体は塊状なので比較的磨りやすかったのですが,母岩を切る無色の石英脈が思った以上に硬いようで,仕上げでいくら磨ってもこの部分に当たり,周囲はなかなか思った以上に光沢が出てくれませんでした.
また角礫状の炭マンの部分は珪岩よりはかなり柔らかいので,少し凹んでしまい,研磨面を素手で触っても凹みがわかるくらいの凹凸ができてしまいました.
研磨前に未研磨面の観察をしたところ,ほとんどの部分が菱マンガン鉱からなる角礫が挟まっているように見えましたが,研磨を続けていくうちに内部にピンク色のパイロクスマンガン石が出てきました.さらに近接して褐色のレンズが挟まっていて,アレガニー石とパイロクロアイト?からなっていました.
(以下,拡大写真です)
角礫状の部分です.礫内部に侵入しる黒い筋は二酸化マンガンの染みかと思っていたら,非晶質の炭素物質のようでした.
角礫状の炭マンを無色―灰白色粗粒の石英脈が切っている部分の拡大です.この石英脈の一部に黄銅色金属光沢粒状の黄銅鉱や黒色の閃亜鉛鉱の粒が含まれていました.
ピンク色ガラス光沢のパイロクスマンガン石と,アレガニー石―パイロクロアイト?のレンズを含む部分の拡大です.アレガニー石とパイロクロアイトの集合はほかのマンガン鉱にも普通にみられる組み合わせで,どうにかすると内部にエメラルドグリーンの緑マンガン鉱を含んでいるものが見られました.この石には緑マンガン鉱はありませんでした.