研磨石
いくつかの研磨した石295
先月訪問した三宝鉱山のアズキ色炭マンを一面研磨しました.坑口がら流出した土砂の中よりサンプリングした小石です.表面を欠かしたため,裏面の二酸化マンガンの酸化被膜の面を一面研磨しました.
(研磨)目視で硬い鉱物は入っていそうにないと踏んで,一気に磨りあげました.はじめの二酸化マンガンの部分は早く磨りきれて,炭マンの部分が下から出てきました.未研磨面を斫った部分は俄かに褐色味があってので,チョコレート鉱か何かを期待したのですが,内部は半分が層状炭マンで,残りがアズキ色炭マンでした.
荒砥で平滑になるように磨っていたのですが,どういうわけか真ん中だけが膨れてきました.目視では硬い鉱物は入っていなかったのですが,アズキ色炭マンと層状炭マンとの境界にテフロ橄欖石とパイロクスマンガン石~ばら輝石系の鉱物の薄い層が挟まっていました.ここが膨れてきた正体で,もう一度真ん中だけを荒砥で磨って凹ませておいて,周囲をあとで磨って高さを合わせました.
仕上げは未だしていません.中砥で軽く磨った上で顕微鏡下での観察にまわしました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
黒色の筋がヤコブス鉱の集まっている部分.
アズキ色炭マンの部分.
アズキ色炭マンとテフロ橄欖石との境界付近.
層状炭マンの部分.
灰緑色のテフロ橄欖石の脈の部分の拡大です.テフロ橄欖石中にピンク色のパイロクスマンガン石~ばら輝石系鉱物の粒が見られました.
パイロクスマンガン石~ばら輝石系鉱物の拡大です.
ゴマ状の部分の拡大です.黒色の粒が入っていて,若干磁力もあるだろうからヤコブス鉱かマンガンスピネルの系統の鉱物だと思っていたところ,長柱状の輪郭のある鉱物が含まれていました.
褐色の粒状は園石かと思いましたが,もっと熱変成の高い鉱床に出てくる感じで,リッベ石は脈状のヤコブス鉱の周りを赤紫に染める程度か,ばら輝石の中にレンズ状のテフロ橄欖石中に濃い赤紫色で入っているという印象で,これも違う.リューコフェニス石は観察した例が少ないので,何とも言えませんが,四国の熱変成を受けたマンガン鉱床の標本があって,これに似ていますが,色・光沢や共存鉱物が異なり,結局どの系統の鉱物か判断できませんでした.