石の話
パイロクスマンガン石
京都府京都市右京区京北 茂美地鉱山
手持ちの標本を片付けていたところ,17年前にサンプリングしたパイロクスマンガン石からなる塊が出てきました.当時は斫って成形するまでも行かず,塊状のまま箱に放りこんでおくことが多くありました.ラベルも走り書きで,日付と英名・和名・組成と共存鉱物をごちゃごちゃ書いていて,裏面に簡易な地図まで書いていました.鉱山名は「茂美地」とかいて「もみじ」と読み,初めはフリガナをふっていました.国道162号線の深見トンネルから南へ尾根を一つ越えた付近の谷にあって,米米谷から林道を歩いて訪問しました.手持ちの野帳に詳細を書いていましたが,パイロクスマンガン石と,珪岩中に挟まる重晶石しかサンプリングしていないようなことを書いていて,実際に残っていた標本も購入した分を除いて,重晶石しかありませんでした.パイロクスマンガン石もサンプリングしたと記入していましたが,標本が長らく行方不明でした.
今日,片付けていたところ当時のサンプルが出てきました.拳より大きめでほとんどの部分が灰色―暗灰色の珪岩でしたので,この部分を斫って,パイロクスマンガン石の部分だけ残すように成形しました.パイロクスマンガン石の部分はやや結晶質で,灰桃色ガラス光沢の菱マンガン鉱や灰緑色油脂光沢のテフロ橄欖石を伴っていました.
割っていると,予想しない変な方向に割れてしまい,廃棄処分かと思ったところ,変な方向に割れた面に放射状の結晶がついていました.ここが上になるように,変更してサイズが小さくなるのは我慢して,成形しました.
京都府京都市右京区京北 茂美地鉱山(非売品).
成形し終わって,表面を掃除してからついでに更新用の画像を撮影しました.
見方によっては茂美地鉱山だけに「もみじ」に見えそうな標本になりました.この面を上にするために,細長い石を半分に割ったのですが,その割れ口に別の鉱物がついていました.
結晶粒がやや粗くなった間隙にチンゼン斧石がついていました.ほかにカリオピライトとネオトス石などがついていました.