石の話
碇峠の緑泥石
先月,丹後半島に行ったときに,サンプリングした石を整理していたところ,緑泥石の放射状集合が脈になって出てきましたので,顕微鏡写真を撮りました.行程は先月投稿の「春の丹後半島へ」(2022年)を参照してもらえばと思います.先月に投降した分にも触れましたが,濃緑色のセラドン石様鉱物が広く鉱染する岩石で,その中に無色透明の方解石が岩石の端の方についていました.
薄い晶洞に結晶鉱物があるだろうと予想して,方解石の出ている僅かな割れ目に鏨を入れ半分に割りました.晶洞鉱物は一見して霰石と方解石だけで,その周囲は見た目黒い鉱物に覆われていました.ルーペで観察したところ,劈開面が反射してキラキラしていました.この産状なら緑泥石で,顕微鏡で改めて観察したところ,放射状集合をしていました.
見た目黒っぽく見える部分を顕微鏡下で観察した時に撮影.白色ないし無色で劈開の顕著な鉱物が方解石.
緑泥石は変成岩や熱水変質物には普通に産する造岩鉱物で,そんなに珍しい鉱物ではなく,質を問わなければ至るところに産する鉱物です.府下でも産地数はかなりの数に上るはずですが,放射状の集合となると,ほとんどその標本を見たことがありませんでした.
顕微鏡下での拡大写真.
それから,アラレ石ですが,こちらは孔の多い安山岩質岩の空隙に放射状になっているものとは異なり,セラドン石様鉱物が集合している部分の一部に霜柱のように見える集合をしていました.拡大すると,六角柱状の自形結晶をしていました.
拡大するとこんな感じです.
それから,アラレ石の結晶の頭にぶどう石がついていました.