顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真167
―バリシライト―
産地:Franklin mine, Franklin mining district, Sussex county,
New Jersey, USA.(非売品)
Barysilite バリシライト
[組成] Pb8Mn2+[Si2O7]3
[結晶] 三方晶系.自形結晶は薄い板状.ロゼット状や
葉片状集合などになる.
[色] 無色・白色・灰白色・淡黄色・淡桃色・赤紫色・
暗赤紫色など.時を経たら新鮮時よりも徐々に
変色するという.
[光沢] ガラス光沢~真珠光沢.劈開面上が最も真珠
光沢が強い.
[モース硬度] 3
[比重] 6.55~6.71
[劈開] {0001}に完全.
[条痕] 白色.
[名称] ギリシャ語の「heavy」(重い)の意と,組成中の
珪素(Silicon)のSiより.
[原産地] Harstigen mine,
Pajsberg, Persberg ore district,
Filipstad, Värmland county, Sweden.
20年くらい前に,よくわからずに購入した標本です.
鉛(Pb)とマンガン(Mn)を主成分とする珪酸塩鉱物です.当初は母岩の表面を覆う白色部全体がバリシライトと思っていました.これを掲載するにあたって,掃除したところ,白色で細かい繊維状をしている部分はサセックス石と判りました.
バリシライトはその横にある,俄かに紫色がかったピンク色部で,板状結晶がロゼット状に集合していました.
顕微鏡で拡大したところ,こんな感じで,劈開面上にはっきりした真珠光沢が観察できました.
バリシライトは灰鉄石榴石からなる母岩を切る薄い脈のようで,それに伴って,白色繊維状のサセックス石を伴っていました.母岩は黄色―黄褐色細粒の灰鉄石榴石で,短波紫外線灯で赤色に蛍光する,黄色粒状のマンガン斧石や,黒色の黒雲母に似た亜鉛の多い種,ヘンドリックス雲母を含んでいました.