顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真154
―灰チタン石―
産地:Perovskite Hill, Magnet Cove, Hotsprings county, Arkansas,USA.(非売品)
結晶の大きさ約11㎜.
Perovskite 灰チタン石
(ペロブスク石・ペロブスキー石)
[組成] Ca2+TiO3
[結晶] 直方晶系(擬立方).立方体を基調とした立体.高温で
立方晶系,低温でペロブスカイト構造をなす.結晶面
に条線が発達.骸晶のような表面になることがある.
立方体が重なって樹枝状に集合することがある.結晶
は脆い.
[色] 灰色・淡黄色・黄褐色・黄橙色・暗黄褐色・茶褐色・褐色
・赤褐色・暗赤橙色・鉄黒色・黒色など.表面が青色や
虹色に錆びることがある.
[光沢] 金属光沢~亜金属光沢.
[モース硬度] 5.5
[比重] 3.98~4.26
[劈開] 無し.あるいは{001}に不完全.
[条痕] 無色・白色・灰白色など.
[名称] ロシアの鉱物学者
Count Lev Alexeevich Perovsky(1792-1856)に因む.
[原産地] Akhmatovskaya Kop'(Achmatovsk mine),
Nazyamskie mountains, Zlatoust, Chlyabinsk oblast,
Russia.
ほか誘電性と焦電気性の強い鉱物とのこと.
カルコファン鉱の次は,灰チタン石にしました.カルシウムとチタンの酸化物という簡単な組成の鉱物なのに,あまりお目に架かれない.スカルン中に産するのが普通の様で,ロシアで最も有名なスカルンの一つであるという原産地の灰チタン石は,少量の磁鉄鉱を伴い,青色方解石やクリノクロアに包まれて産しているようです.
写真の標本は10年くらい前に購入した標本で,国産では数ミリメートルという大きさなのに,10mm以上あったので購入しました.現場は露頭のようなところだそうです.
(ほかの産地のをいくつか)
産地:Hannebacher Ley,Hannebach, East Eifel volcanic field, Spessart,Brohltal,
Ahrweiler disrtict, Rhineland-Palatinate, Germany.(非売品).
こちらは玄武岩質岩の空隙より産する灰チタン石です.立方体の結晶が重なって樹枝状に集合する微細なもので,光沢をさらに強く感じ,金剛光沢くらいの感がしました.現場は標高600m前後の台地が続くような緩やかな山地にある採石場とのこと.母岩の岩石は空隙と捕獲岩を有するメリライト霞石白榴石玄武岩とありました.
この標本は,欧州のアルカリ玄武岩ないしアルカリ火山岩を探しているときに見つけて購入した標本です.
さらに拡大するとこんな感じです.真っ黒というわけではなく,暗い赤褐色でかなり強い光沢を呈しています.周囲の石榴石様鉱物は白榴石.黄色はメリライト.
他の部位に付いていた灰チタン石です.暗赤褐色が灰チタン石です.黄色がメリライト.白色石榴石様が白榴石.白色半透明で粒状が方解石.暗緑色板状が鉄珪輝石とのこと.
さらに他の部位の拡大写真です.暗赤褐色の光沢の強い部分が灰チタン石です.黄色はメリライト.白色石榴石様鉱物は白榴石.濃緑色~灰緑色板状は鉄珪輝石.時折細長い針状の結晶が入っていますが燐灰石とのこと.
白榴石の多い部分の拡大です.左下の白濁した部分は方解石.中央よりやや上の黄緑色部は鉄珪輝石.黄色はメリライト.
産地:岡山県高梁市備中町布賀 北露頭.(非売品).
国産の標本ですが,布賀の高温スカルンの標本がやや立派だったので,掲載しました.結晶の大きさは約6㎜あります.