研磨石
いくつかの研磨した石273
和歌山県潮岬の橄欖石含有角閃石輝石斑糲岩質の岩石を一面研磨しました.7~8年前くらいにサンプリングした標本です.現場で橄欖石が入っているとかいう説明を受けた.転石を少量サンプリングしましたが,いつか磨ってみようと思って,放置状態になっていました.最近いよいよ磨る石がなくなってきて,ひっくり返していたところ,この石が出てきました.斑レイ岩質の岩石は新鮮なのは非常に硬いので,時間がかかるためずっと,後回しになっていました.
未研磨面です.
(研磨) 橄欖石の多い部分を斫用ハンマーで割り出して,ある程度の大きさにしてから,なるべく平坦に近い面を選んで磨り始めました.思った以上に硬く,平滑になるまで,非常に時間がかかりました.
荒砥から中砥の砥石に替えてからも,なかなか光沢が出てくれませんでした.橄欖石の多いレンズ状に見える部分は比較的早く光沢が出てくれましたが,輝石や角閃石は多少変質しているのか,柔らかい部分と硬い部分が混在していて,きれいになりません.
諸所に磁鉄鉱のような,たぶんチタン鉄鉱が入っているのか,板状のものや針状に見える鉄鉱類があって,そこが優先的に削られるためか,小さな凹地になってしまい,満足いくような研磨面は得られませんでした.ずっと思案しながら磨り続けてもダメなので,平滑な面がある程度の広さになったところで,仕上げにかかりました.
柔らかい砥石で磨り始めましたが,砥石が負けてしまうようで,青砥に替えましたが,こちらもうまくいきませんでした.中途半端に風化したホルンフェルスも試しましたが,うまくいかず塊状チャートで研磨すると,多少光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
橄欖石の多い部分の拡大です.見た目ではクロムを含有し緑色を呈する透輝石に見えましたが,光沢が強くやはり橄欖石のようです.
橄欖石の拡大.肉眼での判別できる.角柱状の橄欖石です.角柱の長さは約3㎜で,無数のクラックが入っています.
暗緑色の輝石と斜長石の拡大.全体的に暗い感じの石で,光源を替えて撮影しました.白色が斜長石で,暗緑色柱状が輝石です.
鉄鉱類の拡大です.中央やや右よりに針状の鉄鉱類が観察できました.ほかに板状のチタン鉄鉱のような鉱物や,粒状の磁鉄鉱もありました.